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所属メンバー紹介

北谷知之

経 歴

1976年 東京都品川区生まれ


京都府の北山安夫氏に師事
独立し、千葉県で(株)風彩を設立
仏閣や個人邸の庭を中心に手掛ける。

受賞
日比谷公園ガーデニングショー2011
デザイン賞受賞。
お問い合わせ先
庭匠 風彩
〒285-0837
千葉県佐倉市王子台4-28-16 MAIL: asakura@niwashou-fuusai.com TEL:043-310-7608
FAX:043-310-7609

繊細な感性を持つ日本人は、

古来より卓越したものづくりの文化を築いてきました。

軸組構造の建築では木組みそのものが造形美であり、日本料理においては素材の味

や美しさを最大に活かす工夫がなされています。

また、茶の湯においてもその精神に共通の心を感じることができます。

 

一つの石、一本の樹に向き合ったとき、そこに潜在する力 を感じ取り、作者の美意

識との鬩ぎ合いの中から形を成す様は、自然界の素材を通して自己の心を見つめ直

す修行といえます。
そして 造り手の心により命を吹き込まれた庭は、使い手の心に支えられ成長するこ

とで、その輝きを増します。

 

私が作庭を行うにあたって常に心に留めていることは、

日本人の思想の根幹についてです。
私達が自然を愛する根底には、植物や動物、そして人間も 同じ根から現れた自然の

仮の姿であり、すべての生命は永遠の時空の中で、ひとつに繋がっているという輪

廻の思想を感じるからです。

 

樹も石も人間も自然の一部として、土から生まれ土に返ります。

また、土に根ざす庭や建物も、さらには森や山も一体であると捉えることができま

す。その思いは太陽や星々が輝く宇宙へと膨らみ、壮大な世界のなかに生かされて

いる自身を認識することで、自然を尊み共生する心が育まれ、本質を貫く芸術や文

化が生まれると考えます。

 

庭を造るにあたり技術が必要なのはもちろんのこと、創る という行為自体に込めら

れた求道心が重要であり、その精神は一本の草に至るまで行き届いていなければな

りません。
そのために、周囲の景観や土地柄、敷地との対話から始まり、石や樹の心を読み解

くことが不可欠になります。特に石組は作庭において、非常に大きな役割を担う骨

格であり、ひとつひとつの石がどの様に据わりたいのか考えるとともに、庭全体の

気勢の流れを創り出すことも重要となります。

 

目に見えない「心」を象徴化して庭に現す行為は、私自身の心の状態を、自然界の

石や樹を通して表現することであり、私そのものを写し出します。

しかし、そこに自我を出すのではなく、無我の境地に立ち自然の形に逆らわずに本

質的な形を追求することによって、数百年後も色褪せることの無い必然性のある美

が生まれます。

さらに庭は、主人が愛情をそそぎ育てることで、訪れる客をもてなす主人の心を内

包し、その空間に充実した空気が満ちるようになります。そして庭はその精神によ

ってさらに成熟し、時を重ねることで侘び寂びという趣を生じます。

 

私は自分の人生において、自身の存在意義についてよく考えます。

同時に作庭においても、なぜ庭を造るのか。

また先達の残した庭を観るとき、その場に存在する理由について思いを巡らします。
己を知り、庭を知る。私にとっては、この探求そのものが庭造りであり、庭と向き

合う時は全神経を外に向けて放ち、庭と一体化します。

 

庭造りとは、私の修行の道であり、人生そのものなのです。